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「1ステージ完全燃焼」を舞台作りの基本精神とする、昨年劇団結成25周年を迎えた「演劇集団キャラメルボックス」の運営会社、株式会社ネビュラプロジェクトに自社の「ユニーク」に関して伺ってまいりました。
早速ですが、御社のユニークとはどのようなものですか?
これまでキャラメルボックスは、劇団公演として1986年から今年の3月まで116公演を行ってきたのですが、その内の2回、JR東日本さんの主催で世界初となる東北新幹線の車内演劇「シアターエクスプレス」を行いました。
「シアターエクスプレス」とは、どのような車内演劇だったのでしょうか?
上野から盛岡へ向かう特別ダイヤの新幹線にお客様を「乗客役」として迎え、各車両に役者がツアーコンダクターの役で配置し、さらにお客様の中に刑事役を紛れこませたりして、次々と車内で起きる事件を解決していくというミステリータッチの演劇でした。
初演は1994年に2回公演。1996年の再演は、6月の毎週末に3公演を行い、延べ1,600人ものお客様に参加していただきました。
公演を行うことになったきっかけを教えてください?
某代理店の方が「東北新幹線を使って何かイベントをやってくれそうな劇団」を探されていまして、超人気劇団のプロデューサーの方から、弊社のプロデューサーの加藤に「こういう企画があるんだけど、キャラメルボックスでやらない?」とお話をいただいたのがきっかけです。
車内での公演にあたり工夫した点や問題点などはございましたか?
いろんな車両で事件が起こるので、役者は秒刻みのタイミングを頭に入れて自分の担当車両のお客様をもてなしつつ、全体の事件を把握しながら演技をしていました。
一番最初に宇都宮駅で停車するのですが、そこで新幹線を乗っ取る「トレインジャック」という事件(演出)が起こります。その際、レプリカとはいえ銃を持った男達が車内にいるので、間違って駅のホームにいる一般の方が通報してしまわないよう、犯人役の役者の最初の指示を「カーテンを閉めろ!!」とするなど、お客さまにも随所で参加して楽しんでいただけるよう工夫をしました。
公演中に起こった面白いエピソードなどはございますか?
看板俳優の西川浩幸が、盛岡に着いてから観光地を巡る中で事件の謎を解き明かすヒントを出すというシーンがあったのですが、実はこのツアーに西川の高校の恩師でもある作家の北村薫先生が公演の取材で参加しており、小岩井農場で「おー、西川」と声を掛けられたという出来事がありました。
当然北村先生は西川が出演していることは知っていたのですが、西川は北村先生が参加されていることを知らなかったため大変驚いていました。
「シアターエクスプレス」の反響はいかがでしたか?
普段の公演は、舞台の上でしか役者を観られないのですが、「シアターエクスプレス」では新幹線の通路や各車両に役者がいるので間近で観られ、かつ、犯人による「手を上げろ」などの指示に従ったりするなど、お客様参加型であったため、深く記憶に残る公演だったと好評をいただけました。
日本のテレビ局を始め、海外のテレビ局からも取材がありました。
御社の代表取締役もユニークをお持ちだと伺ったのですが?
代表取締役社長の加藤昌史が、プライベートの時間を活用して、「食べログ」のレビュアーをやっております。ただ、劇団の宣伝をしているのでは?と思われないように本名は伏せてレビューを書いているのですが、最近ではレビュアーのランキング(最近の注目ランキング)で常にベスト10にランクインするなど、純粋にレビュアーとしても注目されているようです。
劇団で全国各地に行く機会が多く、その際、現地の方などから地元の美味しいお店をご紹介いただくとすぐに行ってみて、お店のレビューを書いています。ラーメンに関しては、いろいろな媒体から取材依頼がくるほどでして、ラーメンレビューもとても充実しております。ぜひ「食べログ」を見る機会がありましたら、加藤のレビューを探してみてください。
最後に今後の公演予定についてお教えください。
「水平線の歩き方」、「ヒア・カムズ・ザ・サン」の2作品の公演を大阪(会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ 日時:5月19日〜22日)と、東京(会場:東京サンシャイン劇場 日時:6月2日〜19日)にて行います。
こちらの公演も少々ユニークでして、スタンダードな演劇は1作品2時間程度なのですが、「短編小説のような、短編演劇があってもいいのではないか?」という発想から、「ハーフタイムシアター」という1作品60分で完結するキャラメルボックス独自の公演形態が誕生しました。
20時開演などのステージもご用意しているので、会社が終わったあとに気軽に演劇を楽しんでいただいております。何より上演時間が1時間なのに2時間分の密度を凝縮したこのハーフタイムシアターは、初めて演劇を観るというお客様にも大変好評をいただいております。
演劇集団キャラメルボックス株式会社ネビュラプロジェクト